日本ブリーフサイコセラピー学会

日本ブリーフサイコセラピー学会 第32回 東京オンライン大会
The Japanese Association of Brief Psychotherapy Annual Meeting

大会ワークショップ

大会ワークショップは終了いたしました。


6月5日(日) 10:00~16:00、13:00~18:00

大会ワークショップのご案内

  • 参加登録情報の確認はこちらから
  • 申し込み状況により、受付を締め切るコースが出てくる場合がございます。
  • 本ワークショップは、①臨床心理士資格取得後の教育・研修機会、②日本精神神経学会 専門医単位(B群) として申請予定です。
  • 申し込み後は選択コースの変更はできませんのでご了承ください。
  • 当日受付はありません。事前申し込みのみになります。

10:00~16:00(1時間の休憩を含む)

1 [ 初学者向け ]
みんなで学ぶ ブリーフセラピー入門
木場律志(甲南女子大学)
赤津玲子(龍谷大学)

 ブリーフセラピーってどんなセラピーなんだろう? ブリーフセラピーを実践し始めたけど、どうしたらもっとうまくなれるんだろう? そんな“みんな”のために用意されたのが、このワークショップです。
 私たち講師は「クライエントや家族のこころの中に何らかの問題があるとは考えない」という少し変わった(?)セラピストです。また、セラピーにおいて「クライエントや家族の要望や期待を大事にしたい」と考えています。これらの考え方はブリーフセラピーの基本と言えるでしょう。
 また、私たちはセラピーの場面で様々なワザを使います。問題を少し違った角度から眺める。解決した時のことを考える。自分を責めるのではなく問題との関わり方を考える。ブリーフセラピーには役立つ技法がたくさんあります。
 そんな考えやワザを、“みんな”で一緒に楽しく学びましょう!
参考文献:「みんなのシステム論:対人援助のためのコラボレーション入門」日本評論社

※学生応援価格2,500円対象コース

【定員90名】

2 解決志向アプローチ入門-変化を育む会話の技法
田中ひな子(原宿カウンセリングセンター)

解決志向アプローチSolution Focused Approachは、クライエントのリソース(能力、強さ、可能性)に焦点を当て、それを有効に活用するブリーフセラピーです。シンプルな技法を用いてクライエントとの協力関係を築き変化を育むことができるので、心理相談、教育、医療、産業、福祉、司法矯正、子育て支援など様々な領域で利用されています。このアプローチの特長は、「家族など周囲の人に変わってほしいクライエント」や「自分の意志ではなく強制的に来談させられたクライエント」との面接や「短時間しか確保できない」、「面接回数が制限されている」、「関係者間で意見が対立している」といった臨床場面においても柔軟に対応できることです。このワークショップでは、その理論と技法(質問とフィードバックの方法)を講義と演習を通して基礎から学びます。きっと明日からの臨床に役立つことでしょう。

【定員90名】

3 スクールカウンセリング
―解決志向で腕を上げるティップス(ちいさな工夫やテクニック)―
黒沢幸子(目白大学心理学部/KIDSカウンセリング・システム)
渡辺友香(KIDSカウンセリング・システム/目白大学人間学部)

 困難な時代にあって、スクールカウンセリングに求められることは多岐に渡ります。状況を膠着させず、良い循環を導き、解決に向かうヒントを具体的に掴んでいくために、解決志向の考え方や手法は非常に役に立つものです。ただし、「学校」という文脈の中で、「個人/集団」「子ども/保護者/教員」「相談/コンサルテーション」「予防/緊急」と、対応を様々に変えつつ有用な関わりをする手腕が求められます。例えば、コンプリメントが「やたらと褒めればいい」という誤解を生むと弊害も生じます。子どもの発達課題や特性に応じて、教員や保護者の担うべき役割を踏まえ、どのように伝えていくことが効果的なのか、年々変化する子どもや保護者、教員の実態に合わせて工夫していく視点が欠かせません。
 私達が作成してきたワークシート、相談室だよりなども紹介しながら、日々の実践に役立つことを分かち合い、解決志向で腕を上げる研修としたいと思っています。

【定員60名】
定員に達したため申し込みを締め切りました

4 サイコセラピーとスピリチュアルの統合への試み
〜システムズアプローチとP循環療法〜
東豊(龍谷大学)

本ワークショップではサイコセラピー(この場合システムズアプローチを主とする)といわゆる「スピリチュアル」「スピリチュアリティ」の統合への試みを紹介し、グループ・ディスカッションと全体での質疑応答をメインにプログラムを組みます。
まず、例えばクライエントの満足度においてスピリチュアル・アドバイザーやサイキック・ヒーラーがサイコセラピストに対して優位であること等を、スコット・ミラーの講演録を中心に述べます。
これに関連し、サイコセラピーとスピリチュアルを統合することの意義やリスクを述べます。
その上で、システムズアプローチの考え方を初心者にも理解できるよう平易に解説し、その観点からスピリチュアルな技法の一つであるP循環療法を紹介します。P循環療法がシステムの変化を引き起こすといった視点と、その技法そのものが持つ「非科学的な」効果について考察します。
グループディスカッション及び質疑応答では、主としてシステムズアプローチへの興味も良し、主としてスピリチュアルなものへの興味も良し。どちらにせよ、参加者全員の疑問がきれいさっぱり解消される5時間をめざしたいと考えていますので、積極的な関与(発言あるいはチャット)を期待します。

【定員90名】

5 不確実な未来に向かって自らの足で歩んでいくための「マインドフルネス」
伊藤義徳(人間環境大学総合心理学部)

Covid-19は,想像以上に長く,重たい影を我々の生活に落としました。我々は,以前の生活にはもはや戻れないほど大きな変化を強いられています。そのことに気づかずに,与えられた環境を無自覚に受け入れるのも一つの生き方ですし,そうした変化を受け入れがたく感じ,未来を悲観するのも一つの生き方だと思います。多様な生き方がある中で,変化こそがこの世の理であることを理解し,不確実な未来に向かって一歩一歩確かめながら,自覚的な生き方をすることも出来ます。そうした生き方を選択するためのトレーニングがマインドフルネスであり,キーワードは「気づき」です。「瞑想はあなたが考えているものではない(ジョン・カバットジン著 大野純一訳)」という著書もあるくらい,マインドフルネスについて誰もが持つ「誤解」を解き,正しく理解することで,新しい生き方を選択するための入り口に立てるかも知れません。

【定員90名】


13:00~18:00

6 [ 中級向け ]
心理臨床実践における“言葉が心をつくる”ということ
~家族療法そしてブリーフセラピーの系譜から~
八巻秀(駒澤大学・SYプラクティス)
児島達美(KPCL)

 ブリーフセラピーを志向する方であるならば、ブリーフセラピーと家族療法とは、歴史的にも理論的および思想・哲学的の面から 同じ方向を見ていることはご存知だと思います。本ワークショップは、特に家族療法を行う際に重要な“言葉が心をつくる”いうことについて、あらためて学ぶことにしたいと思います。
 私たちは、通常、心をすでにある内実をもったものとして認識しており、また、そうすることで社会生活は維持されてもいるのですが、実は、そうした心の内実は「言葉」とそのやりとりによってつくられていく、まさに“言葉が心をつくっている”のです。
 本ワークショップでは、2人の講師による講義や対談、ワークやデモンストレーションなどを通して、この“言葉が心をつくる”ということについて、参加者の皆さまと一緒に味わい、そのことにより、皆様の家族療法やブリーフセラピーの心理臨床実践に少しでもお役に立つものを提供できればと思っています。

【定員90名】

7 エリクソニアン・アプローチ入門
津川秀夫(吉備国際大学)

 「20世紀最大の臨床家」とも「ミスター催眠」とも称されるミルトン・H・エリクソン。彼はブリーフセラピーの誕生と発展に大きな影響を及ぼしました。このワークショップでは、エリクソンの人となりの紹介をはじめとして、エリクソニアン・アプローチの実際について初歩からお伝えしていきます。
 エリクソニアン・アプローチを学ぶ際に、催眠から始めることが多いのですが、オンラインのワークショップではさすがにそれはできません。そこで、今回は催眠を用いないエリクソンのセラピーに焦点をあてて、アセスメントと介入について取り上げます。また、その一環として逸話やメタファーの基礎についても実習していきたいと考えています。
 エリクソンに関心のある方はもちろん、既存のブリーフセラピーの源流に触れたい方、日々の臨床をもっと柔軟に進めていきたい方、等々のご参加をお待ちしています。

【定員90名】

8 オープンダイアローグはどこから来て、どこへ向かうのだろうか?
そして我々は何を学ぶべきなのだろうか?
白木孝二(Nagoya Connect & Share)

~1984年8月27日、フィンランド、西ラップランドのケロプダス病院で、「クライアントのことについて、スタッフだけで話すのをやめる」という取り決めが交わされた。この日を境に治療ミーティングは原則として、クライアントや家族と複数のスタッフで行われることになった。対話そのものが共に治療方針を決めていく場所となり、スタッフだけで方針を決める場は不要になった。この一日で、何もかもが変わった。~

こんな風に紹介されるオープンダイアローグ。その臨床哲学と実践が大いに関心を持たれ、精神医療や様々な領域への応用・展開が唱えられたのですが、現状はまだまだ不確実。

本ワークショップでは;
オープンダイアローグはどこから来て、どこへ向かうのだろうか?
そして我々は何を学ぶべきなのだろうか?

この3つの問いを軸に、皆さんと共にオープンでポリフォニックなダイアローグとダイアロジカルな体験の場にしたいと思います。目指すはBecoming Dialogical!

【定員90名】

9 統合失調症の認知行動療法Basics
菊池安希子(武蔵野大学)

日本ブリーフサイコセラピー学会でお馴染みのミルトン・エリクソン博士は、治療法に患者を合わせることはプロクルステスの寝台に寝かせるようなものだ、という言葉を残しています。効果的であるためには、アプローチを患者一人一人にあわせることが大事だと言うのです。ところで、認知行動療法には、割としっかりした枠組(モデル)があり、何をどの順で行うかも比較的決まっています。そうすると「それって患者をプロクルステスの寝台に乗せていることにならないの?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。その答えになるかどうかはわかりませんが、基本モデルは同じでも、不安障害やうつ病の認知行動療法とはひと味違う、「統合失調症の認知行動療法」に触れていただく機会になればと思います。

【定員90名】

10 わかりやすくてやさしいナラティヴ・セラピー
坂本真佐哉(神戸松蔭女子学院大学)
横山克貴(ナラティヴ実践協働研究センター)

 オセアニア由来のナラティヴ・セラピーをこれまでにないくらいやさしく伝えます。坂本が概略について、そして横山が背景となる思想や姿勢について可能な限り噛み砕いて話します。初めてタッグを組む講師2名は参加者が、そして自分たちが咀嚼しやすい様に適宜ツッコミを入れながら進めることにします。名前は聞いたことがあるけど、なんだかぼんやりしているとか、「問題の外在化」のことは聞いたことがあるけど実際はどう進めるのかな、とか、社会構成主義についてわかりやすく解説してほしい、とかそのような方たちをお待ちしています。もちろん、すでにナラティヴ・セラピー(らしきことも含めて)を実践しているけど、もう少し何かヒントを、という方も歓迎です。ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)に関心のある方も歓迎します。SFAとの共通点などを理解すると、さらに実践のバリエーションが増えるでしょう。時間が許せば会話演習やデモンストレーションも計画中です。ということで、わかりやすく、皆さんでアイデアを出し合えるようなワークショップを目指します。

【定員90名】

(以上、敬称略)

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